第5回柔道整復療養費検討専門委員会

平成28年5月13日に第5回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会が開催されました。議題は「前回の療養費検討専門委員会における論点と今後の進め方」
前回3月に開かれた第4回の内容をさらに深く掘り下げた議論になりました。

前回同様、この記事では第4回の委員会の内容で気になった点についてお伝えしていきたいと思います。前回の第4回の委員会の記事はこちらから

今回の議題は以下の通り

  1. 支給対象の明確化に向けた個別事例の収集の方策
  2. 不正の疑いのある請求に対する審査の重点化
  3. 適正な保険請求を促すための施術管理者の要件強化
  4. 療養費詐取事件への対応
  5. その他

引用:前回の療養費検討専門委員会における論点と 今後の進め方(案)

 

亜急性の定義について

相原委員より亜急性の概念についての意見がありました。

発言を要約すると、医学的に亜急性の外傷という概念はない。だからこれまで支給判断として用いている亜急性の外傷は、たとえこれが通達や通知だとしても、厚労省はしっかり説明するか、もしくは是正すべきだ。という意見。そして、日本医師会に要請して取りまとめた資料もあるので、それを提出してもいいとのことでした。

★亜急性について補足説明

柔整療養費の支給対象について、平成9年4月17日保険発第57号通知(平成25年4月24日保医発0424第1号最終改正) 「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」 において、以下のように通知されました

療養費の支給対象となる負傷は、急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的 原因による疾患は含まれないこと。なお、急性又は亜急性の介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉ば なれをいい、挫傷を伴う場合もある。)については、第5の3の(5)により算定して差し支えないこと。

 

そして亜急性及び外傷性の定義については、参議院議員堀利和君提出 柔道整復師の施術に係る療養費の支給に関する質問に対する答弁書 (平成15年1月31日 内閣参質155第8号)において、以下のように述べられています。

平成7年の部会意見では、「打撲・捻挫は、関節等に対する可動域を超えた捻れや外力 による外傷性の疾患であり、療養費の対象疾患は、急性又は亜急性の外傷性であることが明白な打撲・捻挫に限るべきである」とされた。また、平成9年4月に出された「柔道整復師 の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」では、「療養費の支給 対象となる負傷は、急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的 原因による疾患は含まれないこと」とある。亜急性及び外傷性の定義について明らかにされ たい。

(答) 「亜急性」とは、身体の組織の損傷の状態が急性のものに準ずることを示すものであり、「外傷性」とは、関節の可動域を超えた捻れや外力によって身体の組織が損傷を受けた状態を示 すものである。

 

僕もこの亜急性の定義については見直す必要があると考えます。慢性の肩こり腰痛を、なんでもかんでも亜急性にして療養費の請求をする行為が、現実問題としてあります。どんどん拡大解釈してなんでもOKになってしまう前に、しっかりとした定義付け、もしく亜急性という文言の削除を検討すべきだと思っています。

 

負傷原因を書くのがそんなに嫌か・・・

亜急性に関する発言を受けて、保険者側の飯山委員よりこんな意見が出ました。

亜急性については、文章の意味はわかるけれども、医学の専門知識を有していないので、内容そのものをしっかり理解することが難しい。だからそういったレベルでもわかるようななにかを出してもらいたい。との意見。

それに対しては、前回の委員会でも少し話がでましたが、事務局から具体的な事例をまとめてそれを共有する仕組みが必要だとの考えがしめされました。

で、ここから続く接骨院側の意見がちょっと残念だなと僕は感じました。
以下がこれらを受けて三橋委員の発言

急性、亜急性についてですが、恐らく保険者サイドからすると、我々から上がっていく支給申請書をごらんになった中で、いわゆる支給対象とするものがどういうものなのか。いわゆる原因が書いてあるか書いていないか。原因が書いてあれば、その内容で急性なのか亜急性なのか恐らく判断ができるだろうと。恐らく今、言葉の解釈どうこうではなくて、その原因を見ていただいて、それが明らかに支給対象なのかどうなのか。これは医学的というよりも、いわゆる原因ですね。負傷原因が明らかに我々の支給対象なのかどうなのかというのはもう、明らかに、恐らく原因を見ていただけばわかるような気がするのですけれども、いかがなものでしょうか。

乱暴に要約すると、「んなもん負傷原因読めばわかるやろ!」という意見。
そしてそれに対する保険者側の飯山委員の意見は

今の原因を見てもらえばというお話がありまして、それに関連してですけれども、先ほど「部位転がし」のところでしたでしょうか、3部位目のところは申請書に原因が書かれる。1部位、2部位だと書かれないというようなニュアンスで受け取ったのですけれども、これは今、1部位であろうときちんと請求書には原因を書いていただいたほうがいいのではないかと思うのです。もちろん診療録には当然、原因は書いていらっしゃるでしょうから、それの転記だけということになると思うのですが、審査側にとってみましても、その原因が請求書を見たときにわかるということは非常にありがたいお話なので、その原因のところをよろしくお願いしたいと思います。

と、超正論で返してきました。こちらも勝手に要約すると、
読めばわかると言われても、2部位以下は記載してないやん。とりあえず1部位からちゃんと書いもらえると助かる。そもそもカルテには書いてんだから転記するだけやん。

この超正論に、三橋委員は以下のように答えます

負傷原因についてもそうですけれども、先ほどから出ています公的審査会の権限の強化。例えば1枚の医療費支給申請書を見るわけではなくて、今、公的審査会の中では、柔整審査会の中では傾向審査という形でやっておりますので、傾向的に例えば施術所単位で、例えば1部位であっても、その内容を見るのではなくて傾向的に見て、全体を見れば大体審査委員としてはわかる。私も審査委員として十数年の経験がありますけれども、傾向的に見て怪しいものであれば権限の強化という中で、例えば問い合わせをするとか調査をするとか、あるいは、もし余りにもひどい、不正に近いような内容であれば呼んで聞くという形の中で行えば、何も全てに負傷原因を書く必要はないのかなと思っております。

亜急性についての話から、なぜか柔整審査会の権限の話にすり替え。そしてそこを理由に負傷原因は現在の3部位目からでいいと発言。そんなに負傷原因を書くのが嫌か・・・

そもそも負傷原因も記載されていないものに対して、公的なお金が入っている保険を使える今の状態がおかしいと僕は感じます。

 

長期・頻回・多部位の対応について

長期・頻回・他部位の対応についても意見が出されました。長期と頻回については回数制限を設けてはどうかというのが基本的な考えのようです。理由としては、治癒を目的としているのに、漫然と治療を続けているのはおかしいのでは?といったもの。

これに対し柔整師側の伊藤委員の発言が以下

長期・頻回につきましては、今、一くくりに議論がされておりますけれども、過去におきましては長期になるもの、頻回になるものも、中には含まれていると思いますので、一くくりに長期・頻回がだめというのではなくて、やはり、いろいろ個別にデータを求めて出していただく必要があるのではないかと。そして今問題になっております「部位転がし」等々につきましては、3カ月ごとに新しい負傷が出てきて、長期延長理由が1つもない、こういうものが非常に問題です。こういったものにつきましては審査会で見ている中で十分に判断することができますので、そういったことをどんどん重点的にやる必要があるのではないかと思います。

その他の柔整側の委員からも、若い人と高齢者を十把ひとからげにするのはおかしい。といった意見なども出されました。確かにすべて長期がダメ頻回がダメとするのではなく、もう少し幅があってもいいのかと僕も思います。

それに対し、相原委員がまず問題の本質からみるべきだとの意見がでました。頻回・長期・多部位はなぜいけないのか?ここの議論が不足しているとの主張です。

この委員曰く、長期がダメな理由は、打撲や捻挫は医学的にみてそんなに長期の施術が必要になることはない。長期になるのは運動器の慢性疾患が入っているからではないか。
頻回がダメな理由は、外傷の初期は安静が必要なのでそんなに頻回にならない。医療機関とくらべても接骨院の通院日数は明らかに多いというエビデンスもある。
多部位がダメな理由は、1回の受傷で1.22部位というエビデンスがある。だから3部位というのはちょっと考えにくい。たぶん慢性疾患などが入っているのではないか。

といった意見がだされました。
エビデンスがあると主張されると、柔整師側も苦しいですよね(^-^;

ただ、萩原委員が主張した、整形外科などは投薬ができるから接骨院とは状況が違うという意見はそれなりに筋は通っているのかなと僕は思います。とはいえ、今後はこれらもいっそう厳しい対応策がとられていく可能性があります。包括的な請求にしちぇえ!なんて意見もでていますので。

そうなると今度は部位ころがしが増えるというイタチごっこみたくなる気もしますが(^-^;

 

加藤の感想

他には、柔整審査会の権限強化などの話や、施術管理者の要件を強化してはどうかといった話がされていました。前者に関しては今後の流れはよくわかりませんが、管理者の要件強化に関していえば、ここはゆっくり進んでいくと僕は考えています。

ただ、そんなもんやっても悪質な請求にはあまり関係ないかなというのが率直な感想。本当に悪質な保険請求をなくしたいのであれば、亜急性の定義の見直しや削除、部位転がし対策のための、電子請求化およびデータベースの構築だと僕は思います。

これは前回3回目のときに書いたことと同じです。次回以降の委員会でもおそらくそのあたりの話をもう少し詰めてくると思います。またそれについても記事にします。(たぶん)

整骨院・接骨院集客経営コンサルタント、加藤

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