第6回柔道整復療養費検討専門委員会

平成28年7月7日(木)に第6回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会が開催されました。過去2回の委員会の記事は以下から
⇒ 第4回柔道整復療養費検討専門委員会
⇒ 第5回柔道整復療養費検討専門委員会

今回の議題は「これまでの療養費検討専門委員会における論点と今後の進め方(案)の整理」です。過去2回の内容をさらに進めて議論しようぜ!といったところでしょうか。

これまでの委員会で方向性が示されていないものとして以下が挙げられました

  1. 亜急性の定義について
  2. 支給申請書の負傷原因に1部位目から記載することに ついて
  3. 著しい長期・頻回事例の算定の基準に回数制限等を設け ることについて
  4. 地方厚生局における個別指導・監査について
  5. 領収書の発行履歴の備え付けについて
  6. 往療の在り方について
  7. 受領委任の中止について

 

亜急性?なにそれ?外傷はすべて急性やで

前回の第4回委員会の際に亜急性について、「日本医師会に要請して取りまとめた資料がある」と発言した相原委員から、その資料についての説明がありました。

提出された資料は以下

外傷とは、「何らかの物理的外力が作用して生じた生体の損傷」と定義され、交通事故、転落、重量物による圧挫、鈍器による殴打、刃物などの鋭利なものによる損傷など種々の原因で発生します。受傷原因、外力の大きさや方向などによって損傷の形態、程度はまちまちであり、重症度や緊急度は大きく異なります。また、スポーツ外傷はスポーツ障害とは異なり、スポーツ活動中、おのおの1回の外力により発生し、その病態は交通外傷や労働災害などに伴う外傷と変わりはないと理解されます。

「亜急性」は、医学的には傷病の時間的経過を指しており、受傷時から順に急性、亜急性、慢性として使われ、「亜急性」は、急性と慢性の間の時期、つまり「亜急性期」と表記されるのが一般的と考えられます。

外傷の急性期、亜急性期、慢性期という表現はありますが、「亜急性の外傷」という表現は、医学的に用いられることはありません。なぜなら外傷はすべて急性だからです。

引用資料:相原委員提出資料

この資料を説明したうえでの、相原委員の自身の考えを以下のように話されています。

公的な保険を使うからには、亜急性について正しい意味を全員が持っているべき。そもそも柔道整復師法は議員立法で、その設立趣旨は新鮮外傷を謳っている。外傷というのは、予期しない、つまり不慮の偶然性の外因性のケガだ。と

また、おそらく反復性のものを亜急性にする現状を指してだと想像されますが、資料にもあるスポーツ障害に関することについても述べています。

スポーツを続けることで起こる同じ部位のケガは、医学的に見れば外傷ではなく障害。障害は予防できる。反復性とか蓄積性とかは新鮮外傷ではない。患者がいつどこで何をしてけがをしたかのかという、負傷原因がはっきりしないものは、他の疾患が内包している可能性があるから、まずは医療機関を受診するべきだ。

 

亜急性は決着がついている!

めちゃくちゃまっとうな意見だと僕は思いますが、やはり柔整師側としてはそのまま反対意見を出さずにはいられません。そりゃ新鮮外傷のみになってしまうと、保険請求できる範囲が大幅に減ってしまう可能性がありますから。

で、柔整師側から出てきた意見が

  1. 急性か亜急性かではなく負傷原因が大切だ(三橋委員)
  2. 国会答弁書において決着ついてるでしょ(田中委員)
  3. だって教科書にそう書いている。だからこれからもその判断でいく(萩原委員)
  4. 初診で急性、亜急性、慢性と分けるのはナンセンス。重力だった外力(田村委員)

この4つ。順番に考えていきます。

【1】負傷原因が大切だ

これについてはその通りだと思います。いつどこで何をしてけがをしたかのかがわかればいいわけですから。でも、その考えでいくと亜急性という単語を取ってもさほど問題ないのでは?とも僕は思いました(^-^;

 

【2】国会答弁書において決着がついている

これはこれまでの委員会にも出てきた、これです

平成7年の部会意見では、「打撲・捻挫は、関節等に対する可動域を超えた捻れや外力 による外傷性の疾患であり、療養費の対象疾患は、急性又は亜急性の外傷性であることが明白な打撲・捻挫に限るべきである」とされた。また、平成9年4月に出された「柔道整復師 の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について」では、「療養費の支給 対象となる負傷は、急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的 原因による疾患は含まれないこと」とある。亜急性及び外傷性の定義について明らかにされ たい。

(答) 「亜急性」とは、身体の組織の損傷の状態が急性のものに準ずることを示すものであり、「外傷性」とは、関節の可動域を超えた捻れや外力によって身体の組織が損傷を受けた状態を示 すものである。
引用:参議院議員堀利和君提出 柔道整復師の施術に係る療養費の支給に関する質問に対する答弁書 (平成15年1月31日 内閣参質155第8号)

この、もう決着はついている!というのはあまりよろしくないと僕は思います。なぜなら、この答弁書に基づいて今までやってきて、それで運用上の問題が生じているのが現在なのです。で、それをなんとかしていこうぜ!ってのがこの部会の趣旨ですから。

 

【3】だって教科書にそう書いてあるから

これについては、今までそれでいいと思います。この委員の言うように、だってそう習ったわけですから。教科書に書いてあるわけですから。でもここはこれからを話し合う場なので、これからのことを考えるべきだと僕は考えます。

教科書に書いてあることに誤りがあるという意見が出てきているなら、それをしっかり精査して、もし間違っているなら、直せばでいいのではないでしょうか。

 

【4】初診で急性、亜急性、慢性と分けるのはナンセンス

この4番については、あまりよく理解できませんでした。
なんでもOKなんじゃ!という意味に感じてしまったのですが、さすがにそれはないと思うので、僕の勉強不足です。すみません(*_*)

 

保険者は亜急性を削除に賛成

保険者としては亜急性の定義について、これまでもよくわからないというのが実情だったようで、こんな発言がでていました。

 いろいろ議論になっているのですが、長年悩ませてきた亜急性というものに対して、本日、相原先生から3学会からのかなり重い結論をいただき医学的な考え方が明確になった以上、見直すべきだと保険者としては思います。

これからも亜急性という言葉が残っている以上、この議論は平行線になると思いますので、医学的見地からの文書を重く受けとめて、亜急性という言葉はこれを機会に削除すべきだと思います。ただ、亜急性という言葉を削除しても問題が全て解決できるわけではなくて、外傷の亜急性期という言葉はあるということですので、この曖昧な部分がまだ残ると思います。そこはこれからも事例等々を集めていくということにして、まずは亜急性という言葉を外して、負傷原因の明確な外傷というようにはっきりとうたうべきだと思いますので、そういう方向で議論をしていただきたいと思います。

 

この委員会の一か月後に出された、平成 28 年度療養費改定に当たっての意見(要請)の中で、以下のように明記されていました。

「亜急性」という表記が、療養費の支給対象となる負傷を不明確にする要因となっ ていることから、この表記を削除し、その上で支給対象となる負傷を明確化されたい。
引用:平成 28 年度療養費改定に当たっての意見(要請)

この要請がそのまま通るというわけではありませんが、このように明記されているというのは、重要な意味合いがあると思います。

 

負傷原因は1部位から必要か

前回の第5回の記事でも書きましたが、負傷原因を1部位目から記載するようにしてはどうかという意見が出されました。保険者側の意見としては、賛成、柔整師側としては反対の立場を取っているようです。

柔整師側の意見として、チェックが大変だとか、問題があればその都度照会すればいいだとか、傾向審査なので関係ないだとかが出ました。

これって全部無理があるんちゃうの?と普通は思ってしまいます。なぜなら、1部位目から記載してあってもそれを全部チェックしなくてもいいわけです。それこそ傾向的に怪しいものに関しては1部位目からしっかり見ればいいと思います。そしていちいち照会かける手間も省けます。本当に誰にもなんのデメリットもないはずなのです。

負傷原因も記載されていないものに公的な保険を支給するというシステムに、そもそも無理があるのでは?と思ってもしまいます。

前回も書きましたが、そんなに負傷原因を書きたくないもんなんでしょうか?カルテに記載してあるはずなので転記すればいいだけだと思うのですが・・・

 

回数制限は設けるべきか

長期や頻回について回数制限を設けるべきか否かについての意見も出されました。これについて柔整師側からは、さまざまなケースがあるわけだから、それらを十把ひとからげにされるのはどうか、という話がありました。

これについては僕も賛成です。すべて同じにするよりも、さまざまな事例にをしっかりと調べて、ケース別に回数制限を設けるのが理想だと考えます。

ただ、保険者側の幸野委員から出たこの発言は、ちょっと認識が甘いかなと思います。

資料7ページのグラフでは1か月目が52%、2か月目が20%、3か月目が16.8%ということで、その後ストンと急激に4か月目から一桁に落ちております。3か月目までで約9割の方の施術は終わっているので、そこから推定すると、3か月目ぐらいを目安に回数制限するという考え方も一つあるのではないかと思います。

初見月からの経過月数の分布|接骨院

この委員がおっしゃるように、確かに4か月目からいっきに落ちます。なので数字でみれば、ここに線引きをするという考えがあってもいいかもしれません。でも、なぜここで落ちているのかというと、これは穿った見方にはなりますが、第4回の記事でも書いたように、3か月を超えると「長期施術継続理由書」を書く必要が出てくるからです。

もちろんすべてがそういった理由ではないでしょうが、何割かはそういった理由によるものだと僕は考えています。この考えを元にすると、この数字を根拠にしてしまうと誤った数字を元に回数を導きだしてしまうことになります。

 

加藤の感想

この他にも往療料のことについてや、領収書についてのこと、チェック体制の強化などが出ました。ちょいとここでは省かせてもらっています。特に公的審査会の権限強化などに関しては、柔整師が知ってもあまり意味がないかなと思ったので。

あ、あと前回と同じく広告についての問題も出ていました。これは僕としては大問題です。ここにメスが入ってると、接骨院としての集客がかなり制限がかかってきますから。

実際にこの委員会ではなく、医療広告の分野でいろいろと動いています。それを受けて、今後は柔整師と接骨院にもなんらかの動きが出てくるかもしれません。こちらも今後の動きに注意したいと思います。

今回は亜急性についてと、1部位目から負傷原因を記載すること、この2点が柔整師にとって重要な話し合いだったと思いました。そしてこの双方で柔整師側から、あまり納得のいく説明がされなかったなと感じます。

次回はおそらく8月の下旬から9月中旬ぐらいまでの間に開かれると思います。次回は傍聴に行きたいと思うのですが、なんせいつも告知が急なのでスケジュールが合わなくて・・・次回はもっと早くに知らせてくれることを祈っております。

では、また7回目もこちらで記事にしたいと思います。
整骨院・接骨院集客経営コンサルタント、加藤

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2 件のコメント

  • お前さ、こんな記事書いて恥ずかしくないわけ?柔道整復師のおかげで飯が食えてるくせにそのお客様を犯罪者呼ばわりかよ。まるで全部の接骨院が犯罪者扱いじゃねーか。お前がそんなにエライわけ?

    • 普通の柔道整復師様
      コメントありがとうございます。

      >お前さ、こんな記事書いて恥ずかしくないわけ?
      はい。恥ずかしくないです。めっちゃ使命感持って記事も書くし、仕事もしてます。

      >柔道整復師のおかげで飯が食えてるくせにそのお客様を犯罪者呼ばわりかよ。
      柔整師のおかげでご飯が食べられているのは事実です。柔整師の皆さまありがとうございます。
      犯罪者呼ばわりに関しては、たしかにそういったニュアンスが入った文章を僕は書きます。真面目にやっている柔整師さんには確かに迷惑な話ですね。すみません。

      >まるで全部の接骨院が犯罪者扱いじゃねーか。
      もちろんそうとは思っていませんし、そんな表現もしていないつもりです。
      もしそう感じた箇所があれば、どこなのかを明確に指摘していただけると助かります。

      >お前がそんなにエライわけ?
      いいえ。でも、コメントに対して丁寧な言葉遣いで受け答えできるぐらいにはエライです。

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